1. EDとは
ED(Erectile Dysfunction:勃起不全)とは、「性行為に十分な勃起が得られない、あるいは維持できない状態」を指します。
一時的な疲労やストレスで起こることもありますが、繰り返し続く場合には医師による診断・治療が必要です。
参考:日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン 2018年版」では、EDを「性交渉において満足な勃起が得られない、または維持できない状態」と定義しています。
2. 主な症状
- 勃起しにくい、または勃起までに時間がかかる
- 勃起が得られても十分に硬さが続かない
- 性交中に中折れしてしまう
- 性欲はあるのに勃起が伴わない
これらが繰り返し起こる場合には、EDが疑われます。
3. 原因
EDの原因は、大きく身体的要因と心理的要因に分けられます。
身体的要因
- 血流の障害(高血圧、糖尿病、動脈硬化など)
- 神経の障害(脊髄損傷、前立腺手術後など)
- 男性ホルモン低下(加齢によるテストステロン減少)
- 薬の副作用(降圧薬、抗うつ薬など一部の薬剤)
心理的要因
- 精神的ストレスや不安
- パートナーとの関係性の問題
- 性行為への緊張、過去の失敗体験
参考:日本性機能学会の報告によると、EDは「身体的要因と心理的要因の双方が複雑に関与する疾患」であるとされています。
4. 治療方法
EDは治療が可能な疾患です。症状や原因に応じて、次のような方法があります。
- 内服薬(PDE5阻害薬)
- バイアグラ、シアリス、レビトラなど
- 血流を改善し、勃起をサポートします。
- 生活習慣の改善
- 運動習慣の確立
- 禁煙・節酒
- 糖尿病や高血圧などの生活習慣病の管理
- 心理的アプローチ
- カウンセリング
- パートナーとのコミュニケーション改善
- その他の治療
- 補助具(陰圧式勃起補助具など)
- 陰茎海綿体への注射
- 外科的治療(陰茎プロステーシス挿入など)
参考:米国泌尿器科学会(AUA)ガイドラインでも、ED治療の第一選択はPDE5阻害薬であり、効果が不十分な場合には補助具や注射療法、外科的治療が推奨されています。
5. 有病率
EDは珍しい症状ではなく、年齢とともに増加します。
- 40歳代:約20~30%
- 50歳代:約40%
- 60歳代以上:約50%以上
参考:「Massachusetts Male Aging Study(1994年)」によれば、40〜70歳の男性の約52%に何らかのED症状が認められました。日本でも同様の傾向が報告されています(日本泌尿器科学会)。
まとめ
EDは「加齢の一部」と考えられがちですが、実際には生活習慣病や血管障害など、健康状態を反映する重要なサインである場合も少なくありません。
適切な治療により改善できる可能性が高いため、症状が気になる場合は泌尿器科などの専門医にご相談ください。